介護保険制度とは?申請の流れや利用できるサービスについてのページです。


介護保険制度とは?申請の流れや利用できるサービスについて

介護保険制度とは?申請の流れや利用できるサービスについて

日本には、高齢者のための介護保険制度という制度が存在します。制度自体の存在は知っているけれども、「いったい何を目的とした制度であり、どのように利用すればいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?実際に利用する高齢者はもちろんのこと、若者であっても「親などが利用するようになった場合にどうすればいいのかわからない」というケースもあるでしょう。ここでは、介護保険制度やサービスの概要、仕組みなどについて、詳しくご紹介します。

介護保険制度とは?

そもそも、介護保険制度はどのような制度であり、何を目的としたものなのでしょうか。また、介護保険制度の対象者となるのは誰なのでしょうか。ここでは、介護保険制度に関する基本的な知識について解説します。

介護保険サービスの基本理念

介護保険制度というのは、高齢者などなんらかの理由によって介護支援が必要となった方や、その家族を社会全体として支援していくための制度です。これは、利用者の自立支援や利用者の目線に立ったサービスの利用などのサポートをするために行われます。介護保険制度の運用主体は、市町村や特別区でありますが、介護保険料自体を支払っているのは、一定条件に合致する国民となります。

つまり、国民が保険料を納付して介護を必要としている方に対してのサービスに充てるという社会保険方式を採用しているのが特徴です。ただし、その他の社会保険制度と同様に国の社会保障の一つであるため、国民の保険料だけで賄っているのではなく財源として税金も投入されています。

介護保険サービスの対象者

介護保険サービスの対象者は、原則として介護が必要な方です。介護保険の被保険者としては、65歳以上の方が該当となる第1号被保険者、そして40~64歳までの第2号被保険者に分類されます。どちらの被保険者も介護保険料の納付義務があるものの、原則として介護保険サービスを受けられるのは、第1号報被保険者のみとなります。

第2号被保険者は保険料の支払い義務があるものの、基本的にはサービスの対象となっていません。しかし、老化などを原因とする特定の疾病になって、介護認定を受けられた場合は介護保険サービスの対象者となります。介護保険の対象となる疾病は、16種類指定されているため、もし該当している場合は介護認定を受けておくようにしましょう。

介護保険被保険者証はどこで交付してもらえる?

介護保険サービスを受けられるようになると、介護保険被保険者証を交付してもらうことができます。介護保険制度の運営の主体となるのは、市区町村です。介護保険被保険者証を交付してもらいたい場合は、住所のある自治体の介護保険課や高齢者支援課などに相談をするようにしましょう。なお、65歳以上になると全員が対象となりますので、窓口で申請手続きをしなくても、郵送で一人ひとりに対して介護保険被保険者証が送付されます。もし、届いていない場合は市区町村に相談をしましょう。

介護保険制度の仕組み

介護保険制度の仕組み

介護保険制度において、財源を支えているのは国民と国や地方自治体です。40歳以上の国民全員が、介護保険制度の被保険者となり、毎年一定額の保険料を納付します。そして、全体の財源の中で国民が負担しているのは約50%です。残りの50%は税金で補てんされるものとなっています。また、税金といっても、さまざまな予算から支出されています。

財源の内、税金で賄っている部分の内訳としては、国からの税金投入が25%、都道府県から12.5%、市町村からは12.5%という割合で負担しています。介護保険サービスを利用する方は、自己負担として1~3割負担になっていますが、残りの部分については、国民が負担する税金から必要な費用を捻出しています。

保険料の支払方法

介護保険料の支払方法は、該当する被保険者区分によって異なります。

・第1号被保険者
市区町村から送付される納付通知書で納付を行う方法と、支給される年金から介護保険料相当分を天引きしてもらい納付とする方法があります。支払わなければならない保険料額は、住んでいる市区町村や所得などによって異なります。自分自身の介護保険料がいくらかを具体的に調べたい場合は、各市区町村のホームページを確認するか、電話などで問い合わせするようにしましょう。

・第2号被保険者
1人当たりの介護保険料の負担率を厚生労働省が設定をしているので、その負担率に応じて納付保険料が計算されます。保険料額は健康保険組合や、共済組合などの医療保険者に通知されるのが一般的です。そのため、通常の医療保険と同様に介護保険料の請求があり、徴収されます。健康保険に加入している方は、標準報酬月額によって算出され給料からの天引きで納付されるのです。なお、通常の健康保険料同様に、介護保険料は事業主との折半となります。

介護保険の費用の負担について

介護保険制度でサービスを受ける場合の費用負担などについて、どの程度のものなのか確認していきましょう。

●自己負担割合
介護保険は、対象者が介護サービスを受ける場合に適用することができます。しかし、通常の医療保険と同様に、介護保険についても全額適用されるのではなく一部自己負担が必要です。介護保険ができあがった当初は、全員一律で1割負担となっていました。しかし、現在は法律の改正により、被保険者の所得に応じてかかった費用の1割から3割程度の自己負担が必要となります。

また、介護保険法の改正が2018年8月1日に施行されたことで、一定以上の所得のある人の自己負担が3割と改正されました。これによって、現役並みに所得のある高齢者について過去は2割の自己負担だったものが、単身者で年金収入者の場合、340万円以上で3割負担となってしまいます。

●1ヶ月の上限金額とは
介護保険は、際限なく適用することができるのではなく、介護度に応じて支給限度額があります。そのため、ケアマネージャーなどは支給限度額の範囲でケアプランを作成してくれるでしょう。もし、支給限度額を超えてしまうと、全額自己負担になってしまいます。ただし、全額自己負担でも構わないのであれば、サービス自体を受けることは可能です。給付限度額は、点数制であり地域によって単価が異なるため、お住まいの市区町村に問い合わせましょう。

●負担限度額設定って?
ある程度収入や資産があれば、支払限度額を超えてしまっても、自己負担で賄うことができます。しかし、収入や資産が少ないご家庭の場合、支払限度額以上の支払が難しいことも多いです。そのような場合は、負担限度額設定ができます。認定されると、支払限度額以上の支払いが免除されますので、限度額以上に支払う必要がなくなります。なお、認定証は住所のある市区町村で認定受付をしていますので、申請方法などを確認したうえで、手続きをしていきましょう。

介護保険サービスの申請の流れ

介護保険サービスを受けたい場合、何もせずにいきなり受けられるようになるわけではありません。いくつかのステップを踏まなければならないのです。ここでは、介護保険サービスの申請の流れについて詳しくご紹介します。

要介護認定を受ける

介護保険サービスを受けるためには、介護保険被保険者に該当している状態で要介護認定を受ける必要があります。要介護認定を受けるためには、お住まいの市区町村にある介護保険担当窓口で要介護認定の申請をしなければなりません。基本的には本人やその家族が申し込みを行うものですが、「地域包括支援センター」「居宅介護支援事業者」「介護保険施設」で働いている職員が、代わりに申請することも認められています。

申請ができたら、実際に介護保険利用が必要な対象者かどうかの判定をしてもらえます。流れとしては、窓口での申請時にスケジュール調整をしたうえで、役所の担当者が実際に自宅に来て、本人に対して問診を行います。それとあわせて、身体機能のチェックも同時に行われるでしょう。なお、この判定とあわせて、かかりつけ医からの主治医の意見書というものが必要となります。市区町村への要介護認定の申請を出した後に、早めにかかりつけ医に相談をして意見書を発行してもらうようにしましょう。

要介護認定は、その状態に応じて要支援1~2、要介護1~5の区分で認定がされます。そのため、実際に自宅に来て面談をしてすぐに認定してもらえるわけではないのです。新生児の混み具合などにもよって、要介護認定にかかる時間は異なりますが、おおむね認定が出るまでに2ヵ月程度の期間を要します。少し時間がかかってしまいますので、要介護認定を受ける必要が生じたら、早めに申請を出すことをおすすめします。

ケアマネージャーを決定し、ケアプランを作成する

要介護認定を受けることができたら、いよいよ介護サービスを受けることができます。介護保険の範囲内で最適な介護サービスを受けるためには、ケアマネージャーを決定して、ケアプランを作成する必要があります。

●ケアマネージャーとは
ケアマネージャーというのは要介護対象者にとって、とても心強い味方となる存在です。別名、介護支援専門員とも呼ばれており、介護保険法に基づく職種となっています。要介護者や要支援者が、状況に適した介護サービスを利用できるように、ケアプランを作成するのが仕事です。また、ケアプランだけではなく、自治体やサービス事業者間の調整なども行ってくれます。

介護保険サービスというのは非常に種類が多く、初めて受けようとすると、どれを選んでいいのかわからなくなります。経験豊富なケアマネージャーがあなたにぴったりの介護保険サービスを設定してくれるでしょう。

●ケアプランとは
ケアプランは、介護サービスを受ける利用計画書のことをいいます。これを住んでいる市区町村に提出しないと、介護サービスを受けることができません。ケアマネージャーや家族、そして本人で相談をしながら作成してきます。ケアプランの中には、公的サービスだけではなく自立支援につながるためのボランティアなども含まれます。

また、ケアプランは一度作成したら終わりではなく、PDCAサイクル(計画、実行、評価、改善)によって、定期的に見直しをして、ブラッシュアップしていきます。

介護保険で利用できるサービス

介護保険で受けられるサービスの数は多く、さまざまなものが存在しています。ケアマネージャーに依頼すれば、基本的にはともに決めていくものではありますが、ある程度自分でどのようなものかを知っておくとよいでしょう。

自宅に住みながら介護を受ける場合に利用できるサービス

介護サービスは、大きく分けて3つのサービスがあり、その中には自宅に住みながら受けられるものもあります。自宅に住みながら利用できるサービスは、主に居宅サービスと地域密着型サービスと呼ばれるものです。ここでは、主なサービスについてご紹介します。

●訪問サービス
・訪問介護
ホームヘルパーが自宅にやってきて、さまざまな介護をしてくれるサービスです。主に、入浴や食事、そして排せつなどの介護を行ってくれる身体介護、掃除や洗濯、調理などの日常生活の介護を行う生活援助などがあります。そして、通院が必要な要介護者については通院のための乗車や降車サポートなどを受けることが可能です。ホームヘルパーや介護福祉士などの有資格者が対応してくれます。

・訪問入浴介護
自宅に、浴槽を積んだ専門者が訪問して、入浴の介護をしてくれるサービスです。

・訪問看護
病状が安定している患者に対し自宅に看護師が訪問して、主治医の指示に沿った療養上の世話、診療補助などのサービスを受けられます。

・訪問リハビリテーション
理学療法士や言語聴覚士、そして作業療法士などが訪問して、リハビリテーションを実施してくれるサービスです。

・居宅療養管理指導
医師、歯科医師、歯科衛生士、薬剤師、そして栄養管理士などが訪問して、療養上の管理指導をしてくれるサービスです。

●デイサービス・デイケアなどの通所サービス
通所介護、通所リハビリテーションともいわれています。利用者が日中に施設や医療機関、介護老人保健施設などに通って、日常生活の支援や機能訓練、各種リハビリテーションを受けることができるサービスです。別途費用が必要となることがありますが、自分自身で通うことが困難である場合は、送迎サービスなどを適用することもできます。

●ショートステイなどの短期間の宿泊サービス
短期入所生活介護、短期入所療養介護とも呼ばれています。日常生活は自宅で送っている方が、期間を定めて短期間だけ介護老人福祉施設や介護老人保健施設、そして病院や診療所に入所するサービスのことをいいます。利用者の気分転換や同居している家族の負担を減らすことなどを目的として利用されるケースが多いようです。

●その他のサービス
その他にもワンストップで受けられるサービスがあるので、簡単にご紹介します。

・特定施設入居者生活介護
すでに、有料老人ホームや軽費老人ホームに入所している方を対象に、日常生活のサポートや機能訓練、そして各種お世話などをしてもらえるサービスです。

・福祉用具貸与
自立した生活を送るための福祉用具を貸してもらえるサービスです。

・特定福祉用具販売
入浴や排せつを目的として、福祉用具を購入する際に、費用の7~9割(年間10万円まで)を支給してもらえる制度です。

・住宅改修
自宅で生活をするための、手すりや段差解消などのバリアフリーに関する住宅改修を行った場合に、改修費用の7~9割(年間20万円)まで支給してもらえる制度です。

このように、自宅で受けられるサービスというのは、さまざまな種類のものがあります。自分の生活スタイルに合ったサービスを受けるようにするとよいでしょう。なお、自宅ではなく老人ホームなどの特定施設に入居している利用者がサービスを受ける場合でも、自宅にいながら受けられるサービスとして分類されています。

これは、あくまでも利用者が日常生活を送る場所で受けるサービスであるからです。自宅は別にあったとしても、生活の中心は老人ホームなどの特定施設となるので、こちらに該当しています。

施設に入って介護を受ける場合に利用できるサービス

介護に関する施設といえば、老人ホームを浮かべる方が多いのではないでしょうか。ただ、老人ホームというと、民間事業者などが運営しているケースを思い浮かべてしまいがちです。介護保険サービスの利用によって入居できる老人ホームは、「介護保険施設」と呼ばれています。介護保険施設とは、民間が運営している老人ホームではなく、公的機関が運営している介護施設です。主な介護保険施設について、解説します。

●特別養護老人ホーム
身体上、もしくは精神上の障害などの理由によって、常時介護を受けないと日常生活を送ることができない方を対象とした老人ホームです。公的機関の中でも、低価格で最も手厚いサービスを受けることができるため、入居希望者が非常に多いことでも有名です。常に順番待ちの状態になっていることから、入りたくても入ることができないという利用者が増加しており、問題にもなっています。また、入居するための要件も敷居が高く、要介護3以上にならないと入居希望を申請することができません。

●介護老人保健施設
病状などが安定しており、入院治療をする必要がない利用者が対象であり、在宅での介護を目指すために入居する施設です。医師や理学療法士がそばにいるため、適切な医療ケアやリハビリテーションを受けることができます。ただし、最初に説明した通り在宅での介護を目指すために入居する施設です。長期入居はできず短期間の入居施設となるため、注意が必要です。

●介護療養型医療施設(介護医療院)
介護保険制度の成立当初に、介護のための療養病床として許可されていた医療機関のことを、現在では介護療養型医療施設と呼んでいます。しかし、制度運用の段階において医療行為を必要としていないにもかかわらず、退院後の生活の方法がないなどの理由によって、そのまま入院を継続している利用者が多いということで、問題となりました。

そのため、2012年以降は介護療養型医療施設の新設は行われておらず、徐々にその数は減少していることが特徴です。そのため、入居したい場合には入居難易度が高いなどの問題があります。なお、2017年度末には、これまであった介護療養型施設は廃止となりました。2018年度からは、介護医療院が創設されました。介護医療院は、長期療養を目的として医療機能と生活施設の機能(介護)を備えている施設となります。今後、徐々に施設は増えていくことでしょう。

要介護認定を受けていなくても利用できるサービスは?

介護保険サービスを受けるためには、原則として介護認定で最低でも「要支援」の認定を受けなければ、サービスを利用することができません。しかし、「すべての介護保険サービスが利用できない」というわけではありません。介護予防を目的としている公的サービスにおいては介護認定を受けていない状態でも利用することが可能です。

介護予防・日常生活支援総合事業においては、自治体が作成している「基本チェックリスト」において、「介護予防・生活支援サービス事業対象者」と判定されると、介護予防ケアマネジメントに基づいた介護予防サービスを受けることができます。また、65歳以上であれば各自治体が行っている一般介護予防事業なども利用可能です。

さらに、「要支援1」「要支援2」の認定を受けている場合、要介護にならないことを目的とした予防介護サービスである予防給付を受けることができるようになります。要介護にならないためにも、積極的にこれらの介護予防を受けることがおすすめです。

民間の介護施設でも介護保険サービスは利用可能

一般的に介護保険サービスを受けることができるのは、公的介護施設の利用に関してのみです。しかし、自分の住んでいる地域を見渡してみると、公的介護施設だけではなく民間が運営している介護施設も非常に多いです。また、民間の介護施設はサービスが充実していることも多く、そちらを利用したいと考える方も多いでしょう。こういった民間施設で、介護保険サービスを利用することができるのでしょうか?民間介護施設の介護保険サービス適用について、詳しく解説していきます。

特定施設入居者生活介護指定の施設では定額で介護サービスを受けられる

民間企業が事業運営をしている介護施設であっても、「特定施設入居者生活介護」の指定となっている介護施設であれば、要介護の認定別に介護保険サービスを利用することができます。

●特定施設入居者生活介護とは
介護付き有料老人ホーム、そして一部のサービス付き高齢者向け住宅、軽費老人ホームなどが該当します。要介護1以上の認定を受けている必要がありますが、食事や入浴、そして排せつの介助や機能訓練などのサービスを受けることが可能です。費用は、明確にされており、介護認定ごとにサービスの自己負担額が毎月一定額となっています。サービスをたくさん利用しても、していなくても介護費用が上下することがないことが特徴です。

なお、有料老人ホームはたくさんありますが、特定施設入居者生活介護の指定を受けられるのは、介護付き有料老人ホームだけです。また、住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームは、特定施設入居者生活介護の指定を受けていないので、介護保険サービスを適用することはできません。このように、一部ではありますが、民間の老人ホームなどを利用することができるケースもあります。もし、民間を希望する場合は、これらの老人ホームを探すようにしましょう。

外部の事業者と契約して訪問介護サービスを受ける

また、特定施設入居者生活介護の指定を受けていない場合でも、入居者が別途介護事業者と契約を行います。そして、自分の居室や個室の訪問介護サービスを受けることで、介護保険サービスを利用することが可能になるのです。つまり、老人ホームにいるけれども在宅型の介護サービスを別に契約するということ。これであれば、通常通りの介護保険サービスの利用となりますので、自己負担額を支払えば同様のサービスを受けることができるでしょう。

ただし、気をつけなければならないのがコスト面での問題です。たしかに、外部サービスを依頼することで、自己負担額を支払うだけでサービスを受けることができるでしょう。しかし、そもそも民間の老人ホームに入居していることを忘れてはなりません。これらの費用を支払ったうえに、介護保険サービスの自己負担額を支払わなければならないため、二重に費用が発生してしまうのです。

そのため、外部サービスの利用頻度や利用日数などが増えてしまうと、介護費用が高額になりますので注意しましょう。すでに民間の老人ホームなどに入居している方が、このような介護保険サービスを利用する場合は、日常的に利用するのではなくスポット的に利用するようにするとよいでしょう。

介護保険制度の成り立ち

介護保険制度の創設の背景

介護保険制度は、高齢化社会による高齢者の増加と医療介護の負担増加によって生まれました。1960年代には、高齢化率5.7%に達しており、1970年代に老人医療費などの無料化が実施されました。しかし、社会的入院や寝たきり老人の増加などが深刻な問題となり、医療費高騰に陥ってしまったのです。1980年代には高齢化率は9.1%とさらに高まったうえに、医療ケアの必要がない患者の長期入院問題などによって、病床不足という事態に陥りました。

もともとは、病院での医療介護をメインとしたケアが行われていたものの、1990年代にはさらに高齢化率が高まり12%に達したことから、政府は政策転換を検討し始めたのです。医療での施設介護を中心とするのではなく、在宅介護を中心に移行しようとしました。しかし、当時の状況では増加している核家族の影響が顕著な問題になると懸念されていたのです。

社会的問題となっている要介護状態の高齢者などの負担を家族だけで負担するのではなく、国民全体でサポートしていくことが必要という声が高まりました。これが、介護保険制度ができあがるきっかけです。これらの要望を基にして、核家族への介護負担を少しでも軽減するため2000年に介護保険制度が施行されました。

介護保険制度の改正について

比較的新しい制度でもある介護保険制度。しかし、今後も高齢化社会に拍車がかかることが想定されていることから、制定してそのまま放置するのではなく、3年ごとに見直しがされています。つまり、予想外のスピードで進行する少子高齢化に対して、できる限りついていく必要があると判断されたのです。これによって、社会の実情に合わせた介護保険制度を常に最新の状態にすることができます。

特に目覚ましい変化を遂げているのは、自治体での「措置」ではなく利用者が「契約」によって自由にサービスを選べるようになった点です。介護保険制度以前では、従来あった受けられるサービスを行政が措置として限定していました。しかし、これでは多くの人を満足させることができません。「措置」ではなく「契約」にすることで、利用者の選択肢を広げて利用者自身が好きなように選ぶことができるようにしています。さらに、この契約を適切なものとするため、ケアマネージャーという職種も生み出されました。

介護保険制度の今後

介護保険制度は、高齢者が自立した生活を支援するために生まれました。今後の制度展開としては、単純に医療や介護だけに焦点を当てたものではなく、高齢者が長年住み慣れた地域も含めたケアが必要と考えられています。「地域包括ケアシステム」と呼ばれており、医療や介護、そして介護予防をはじめとする住まい・生活支援サービスを自宅から30分以内の日常生活圏内で一体的に提供することを目的としたシステムです。

従来通りの要介護サービスを提供する機関や事業者だけではなく、近隣住民や有志によるボランティアなども参加する複合的なシステムとなっています。これによって、閉塞された空間ではなく、より開放的な地域生活を送れるようになることが期待されています。

このシステムの実現のためには、地域包括支援センターとケアマネージャーの協力が必要です。地域包括支援センターというのは、地域内の高齢者福祉に関する「よろず相談窓口」として、介護予防ケアマネジメント業務や権利擁護業務、そして継続的ケアマネジメント支援業務などを担っていきます。そして、ケアマネージャーは高齢者がこれらのサービスを有効的に利用できるように支援する役割を期待されているのです。

介護から介護予防の時代へ

今後の介護保険制度を見ていく中で、そもそも介護状態にならないための施策が検討されています。介護予防と呼ばれており、介護が必要になる前にさまざまな対策をすることで、「要介護状態を防ぐ」「遅らせる」ということが主な目的です。また、要介護状態であったとしても、それ以上状態を悪化させないように、心身機能の維持や改善を図ることを目的とした対策方法となります。

これまでの介護予防は、機能訓練に特化した対策が行われていました。しかし、近年では機能訓練も重要ですが、社会的な活動によって社会に参加することも重要と考えられるようになったのです。つまり、機能訓練によって体を鍛えるだけではなく積極的に社会進出することで、多くの人と関わり、精神的な衰えをなくしていこうという考えなのです。現在では、介護保険だけではなく自治体が中心となって介護予防サービスの提供が行われるようになっています。地域の実情に合わせたサービスが展開できるため、より高い予防効果が期待できるでしょう。

まとめ

介護保険制度とは、介護支援が必要となった高齢者などを対象として、自立支援を促すためのサポートを行う制度です。介護保険サービスを受けたい場合は、自治体から介護認定を受けることが必要になります。介護認定がされれば、少ない自己負担でさまざまな介護保険サービスを受けることができるようになるでしょう。介護保険制度は、少子高齢化による医療介護問題を解決するために生み出された制度です。

また、家族だけで介護負担をするのではなく、日本全体で高齢者をサポートするためのシステムとなっています。実情に則した制度とするために、3年ごとに制度の見直しをして、常にブラッシュアップされています。今後は、地域の生活を巻き込んだ「地域包括ケアシステム」や自治体主導の介護予防などの展開が期待されています。



  • 入居までの流れ

    入居祝い金

    サ高住とは?

    入居にかかる費用
    入居条件について
    有料老人ホームとの違い
    生活支援サービスについて
    介護サービスについて
    メリットとデメリット

    介護施設ぽーたるの知恵袋

    施設掲載ご希望の方はこちら


    pagetop